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腰痛に悩む人は耳への刺激で改善できる

公開日: : 最終更新日:2017/04/24 腰痛の治療, 腰痛を改善する運動・動作

耳を刺激することで全身の症状を改善することができる

「腰の痛みを耳で治す」というと、意外に思われるかたが多いかもしれません。実際、「耳は単なる集音器」、つまり「音を聞き取るためだけの器官」と教えられました。おそらく今も、それが一般的な認識でしょう。

ところが実際は、耳を刺激することで、全身の症状を改善することができるのです。腰痛も例外ではありません。

関西医療大学学長の吉田宗平先生は、神経内科医として、神経疾患の治療に鍼灸を活用し、しびれやマヒ、硬直、ふるえなどの改善に役立ててきました。そのなかで、耳に分布するツボを刺激し、全身の症状を治す「耳介医学」に出会いました。

吉田先生は、15年以上前から耳介医学を実践し、その効果を調べています。そして、耳介医学のメカニズムを科学的に解明するために、研究を重ねているのです。

2006年、吉田先生はほかの研究者と共同で、耳への刺激が腰痛に与える影響について調べました。そのときの実験を、わかりやすく紹介しましょう。

起床時に痛まない!鎮痛剤が不要になった!

実験には、慢性腰痛を持つ、69~79歳の男性8名にご協力をいただきました。全員、ふだん体を動かす際、腰に鈍痛があり、うち2名はギックリ腰を起こした経験がありました。

実験は、次のように行いました。

①診察と、痛み・心理状態の自己評価を行ったあと、首の後ろから腰にかけての体表温度と血流、脈波を測定する。脈波とは、心臓の拍動に伴う末梢血管の血圧や体積の変化。

②痛む側の耳の「腰痛のポイント」に、直径1mmの金属粒子をはりつける。30分後に、体表温度と血流、脈波を測定。金属粒子をはりつけたまま、2日間通常生活を送る。

③2日後に、痛み・心理状態の自己評価を行い、体表温度と血流、脈波を測定。

金属粒子を耳にはりつけた2日後、対象者全員から「起床時に腰が痛まなくなった」「畑仕事が長くできる」「鎮痛剤を飲まなくても痛みを我慢できる」といった声が聞かれました。

対象者には、金属粒子による刺激以外、治療も生活指導も全く行っていません。これは劇的な効果といっていいでしょう。

試した全員の腰部の血流量が増加!

さらに、腰部の血流量も、耳への刺激で全員増加したことが確認されました。

また、体表温度の変化も調べました。服を脱ぐと体表温度が下がりますが、その下がり方が、耳を刺激していないときに比べて緩やかでした。これは、腰部の血流量が増加したことと、関係しているかもしれません。

脈波については、耳への刺激と、内臓や血管を調整する自律神経との関係を見るために測定しました。脈はすなわち、心臓の動きであり、自立神経がつかさどっています。実験の結果、耳への刺激は、脈拍を遅くすることがわかりました。

これは、自律神経のうち副交感神経を優位にして血管を拡張することを意味します。そのため、皮膚血流量が増加したのではないかと考えられるのです。

時間は3~4分でじゅうぶん

実験では、金属の粒を用いましたが、刺激の方法はなんでもかまいません。また、ポイントの場所も厳密にとらえる必要はなく、大まかな目安で刺激すればOKです。自分で行う場合は、腰痛のポイント付近を手の指でもみほぐせばいいでしょう。

刺激する時間は、3~4分でじゅうぶんです。逆に、やりすぎて耳の皮膚を傷つけないように気をつけてください。

耳介療法は、紀元前から民間療法的に受け継がれてきました。それを西洋医学の観点から見直し、体系化したのが、フランス人の整形外科医であるポール・ノジュです。

ノジュは1951年、ひどい座骨神経痛を、耳を焼く民間療法によって改善させた女性患者と出会います。中国の鍼灸理論を学んでいたノジュは、この症例から耳への刺激という発想を得て、耳介医学の研究をスタートさせたのです。

ノジュは、病気や障害のある体の部位に対応する耳のポイントを刺激すると、脈が変化することを突き止めました。脈の変化を用いて治療点を抽出し、完成したのが、耳に人体図を対応させた「耳介医学地図」です。

吉田先生はこれまでの臨床経験から、ノジュが作り上げた耳の治療地図は、かなり正確であると実感しています。

腰痛に悩むかたは、ぜひ耳への刺激をお試しください。



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