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保冷剤を手で握るだけで腰痛や関節リウマチが改善していく

「ステロイド剤が効く病気」に効果あり!

体を温めることが、健康によいことは、よく知られています。その一方で、体を冷やす寒冷刺激が、ある種の病気に効果があることを、皆さんはご存じでしょうか。

ある種の病気とは、ぜんそく、アトピー性皮膚炎、花粉症、腰痛、関節リウマチ、潰瘍性大腸炎といった、アレルギー性疾患や自己免疫疾患と呼ばれる病気です。いずれも、本来なら自分の体を守るはずの免疫の機能が正常に働かなくなる病気で、近年、増加傾向にあります。

これらの病気の多くは原因が不明で、根本的な治療法が見つかっていません。したがって、患者さんは、薬で症状をおさえながら、何とか苦痛をしのいでいるのが現状です。その治療によく使われるのが、ステロイド(副腎皮質ホルモン)剤です。

「寒冷刺激は、このステロイド剤と同じような効果をもたらします」というのは、内臓調整療法学院学長の南一夫先生です。

南先生は5年ほど前から、保冷剤で手のひらを冷やす「保冷剤刺激」を、特にアレルギー性疾患や自己免疫疾患の患者さんに勧めてきました。

「何年も苦しめられ、どこに行っても治らなかったような病気が、保冷剤刺激でずいぶん改善しています。この療法は、ステロイド剤が適用される多くの病気に効果があると思います。それ以外にも、腰痛、ひざ痛、生理痛、生理不順、不妊症、更年期障害、精力減退、耳鳴り、不眠、うつといった幅広い症状が改善しています」(南先生)

副腎皮質ホルモンが分泌される

保冷剤刺激は、ケーキや生鮮食品などを買ったときについてくる保冷剤を手で握るだけの、きわめて簡単な家庭療法です。こんな簡単な療法で、難病といわれるような病気が改善するのは、なぜでしょうか。

「手のひらは、動物でいうと前足です。動物の足底には特別な感覚器があって、痛み、冷たさ、熱さなど、身に危険を及ぼすような強い刺激を感じると、その刺激が脳に作用して、副腎皮質ホルモンを出すのです。ネズミの実験では、10分間の痛み刺激で副腎皮質ホルモンの分泌が有意に起こり、その効果は1時間ほど続いたという報告があります。この副腎皮質ホルモンに、炎症を強くおさえる作用があるのです」(南先生)

副腎皮質ホルモンが分泌される機序を、医師の野口俊之先生が解説してくれました。

「刺激の情報が脳に届くと、脳の視床下部から下垂体に、『副腎皮質を刺激するホルモンを出せ!』という指令が送られます。すると下垂体からACTHという副腎を刺激するホルモンが出て、副腎皮質から副腎皮質ホルモンが出るしくみになっています」

ネズミの実験では痛みの刺激でしたが、この痛みの刺激に相当するのが、「10度以下か、43度以上の温度刺激」(両先生)なのだそうです。

つまり、保冷剤による寒冷刺激を手のひらに与えると、体内の副腎皮質ホルモンが誘発され、炎症をおさえられると考えられるのです。薬のステロイド剤は強い抗炎症作用がある反面、副作用もあります。しかし、体内でつくられる副腎皮質ホルモンなら、副作用が出る心配はありません。

自律神経のバランスが整う可能性もある

南先生によると、保冷剤刺激で自律神経(内臓や血管の働きを調整する神経。緊張時に優位になる交感神経と、休息時に優位になる副交感神経がある)のアンバランスが是正される可能性もあるそうです。

「刺激を受けて指令を出す脳の視床下部は、自律神経の中枢でもあります。したがって、刺激を受けると、その影響を受けて自律神経も調節されると考えられます。

例えば、強い痛み刺激を受けると、血圧が上がったり、脈拍が速くなったりします。これは、交感神経が優位になるからです。自己免疫疾患やアレルギー性疾患のある人は、副交感神経が優位な状態にあるといわれています。ですから、寒冷刺激で交感神経が刺激されれば、自律神経のバランスが整う可能性があります」

耳鳴りや不眠、うつ、生理痛、更年期障害といった症状も改善するのは、こうした自律神経の調整が関係していると考えられます。

まずは続けてみる

さて、気になる保冷剤刺激の効果は、どれくらい続ければ実感できるのでしょうか。

「病気によっては改善までに時間がかかるものもありますが、かゆみや炎症に素早く効くこともあります。続けることで体質も変わりますから、まずは続けてください」(南先生)

その際の注意点を、野口先生に聞きました。

「副腎皮質ホルモンには、血糖値や血圧を上げる働きもあります。重度の糖尿病や高血圧で治療を受けている人は、保冷剤刺激は控えたほうがいいでしょう。

また、保冷剤刺激がステロイド剤などの代わりになるとの医学的な証明は得られていませんし、効果の限界もあると思います。薬を処方されている人は、勝手に薬をへらしたりやめたりしないで、医師とよく相談してください。初めから相談しにくい場合は、薬はそのまま使い、保冷剤刺激の効果が出てきてから相談するのもいいでしょう」



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