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「腰痛には安静」というのはウソ。日常生活を送るのがベストな対処法

公開日: : 最終更新日:2018/03/05 腰痛の治療

動かないことが最良の対処法という医者も

腰痛の治療、まずは「安静」です。「治療法」とは考えにくいかもしれませんが、急性腰痛(ぎっくり腰)や坐骨神経痛にかかったときに、多くの医師は「安静にして痛みがとれるまで寝ているように」と、動かないことが最良の対処法であるように言います。

その理由は、仰向けに寝ると椎間板や背中の筋肉にかかる内圧が最も低くなるという事実にもとづいています。椎間板や筋肉の内圧が低くなれば神経への圧迫も少なくなるというわけです。

しかし現実には、仰向けに寝ても、約半数の患者さんは痛みが軽くなる度合いはほんのわずかであるといいます。また、仰向けから横向きに姿勢を変えた際、椎間板内圧は立っているときの75%まで上昇し、横向きで寝てしまうと、椎間板内圧をあまり低くすることはできません。

この2点から、安静が必要という理論的根拠は乏しいものになります。

最も回復が遅かったのは安静に寝ていた人たち

実際、安静を命じても、座ったり壁に寄りかかったりする方が楽だと言う患者さんもいます。本来ならこの姿勢では椎間板内圧がかなり高くなるので、安静を勧める理論からいえば、楽な姿勢ではないはずです。

安静がよくないならば腰痛を起こした直後にはどうしたらいいのでしょうか。これに関して面白い研究があります。フィンランドの研究者は、急性腰痛の患者さん186名を次の3つのグループに振り分けて、その経過を追っています。

①2日間、安静に寝ているグループ、②伸展・側屈運動を主としたストレッチをしてもらうグループ、③耐えられる範囲で日常生活を続けてもらうグループです。経過をみるタイミングは、開始時、3週間後、12週間後の3回です。

その結果、開始時はばぼ同じ程度からスタートしましたが、3週間後、12週間後、どの時点でも、最も回復が早かったのは日常生活を続けてもらったグループで、最も回復が遅かったのは安静に寝ていたグループという結果が出ました

ストレッチをしたり日常生活を送ったりするほうがよい

この報告からも安静にして寝ているのが最もよい対処法とは言えず、ストレッチをしたり日常生活を送ったりするほうが「より良い対処法」と言えます。

ただし、誤解しないで欲しいのは、ぎっくり腰になって痛くて動けないときに「無理してでも普段通りの生活をしろ」という意味ではありません。痛みを我慢して仕事や家事をすれば、さらに痛みが増すようなことにもなりかねません。

痛みとつき合いながら、耐えられる範囲内で無理のないように生活することが、結果として腰痛の改善に役立つのです。腰痛になったことをこれ幸いに「寝太郎」を決め込み、身の周りのことは家族に任せきり、というのはよくありません。



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