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慢性腰痛に対しての運動療法の効果

公開日: : 腰痛の治療

コスト面では集団運動療法が最も安価

どんな方法で行う運動療法が慢性腰痛に対して効果があるのかについては、次の3群を比較した研究があります。

①家庭で指導された自分で行う30分の理学療法

②2~3人で器具を用いて行う筋肉コンディショニング

③10~20人で行う全身ストレッチなどの軽い運動療法

これらを12週間続けて行った結果は、3群の治療効果に差がみられませんでした。

しかし経済的なコスト面では、家庭での指導を受けた理学療法が最も高く、集団で行う運動療法は理学療法の1/3、筋肉コンディショニングの1/4と、集団運動療法が最も安価でした。

また、米国の腰痛診療ガイドラインでは、「急性期の腰痛では低負担の有酸素運動は2週間以内に開始できる」とあり、「体幹の筋肉のコンディションを整える運動(ストレッチングやヨガ、気功など体の左右のバランスを整える簡単な運動)はそれより2週間遅らせて開始するように」と勧告しています。

前向きな意識が腰痛改善効果を引き出す

このように腰痛に対する運動療法の研究は道半ばですが、心身の健康に関する運動効果は続々と報告されています。

例えば 「慢性炎症に関しては身体活動が重要」とする報告や、「運動が免疫機能を向上させる」という研究があり、アレルギーの病気などの過剰な免疫反応の場合はそれを抑制するなど、運動には免疫の働きをバランスよく整える効果もあると報告されています。

そのほか筋力を高めるのは当然としても、睡眠改善、認知機能の改善、糖代謝異常の予防、骨折、転倒、肥満の予防、乳がんの予後の改善など、運動の効果の科学的な検証には枚挙にいとまがありません。

このことからも、腰痛の患者さんが自分にとって快適と思われる運動を継続することには、心身の健康を維持するうえでもおおいに意味があるでしょう。

いつでもどこでも誰にでもできて、コストもかからない軽運動として、歩行(ウォーキング)や水中歩行がよいのではないかと考えられています。このことはヒポクラテスや貝原益軒も著書のなかで勧めています。ただ、まだ十分に効果が立証されてはいません。

いずれにしろ自分が主体的に選んだ運動をやる気を出して続けようとする、その前向きな意識が腰痛改善効果を引き出すのであろうと推測できます。



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